日本には所有者不明の土地が400万ha(九州に相当する面積)あると言う。日本国土の20%に当たる不明地である。わが故郷でも所有者が県外にいる人が多い。何haもの山を所有し神奈川県に子孫のいる人が居る。他にも実家では家を継ぐ相続人が途絶え、千葉県で結婚して別姓となっている女性も居る。たまたま相続で登記した為に自分の名義になってしまったのだと言う。当然、登記簿上の所在地が何処にあるかなど知る由もない。現行法では必要な資産だけを相続することは出来ない。負となる財産も相続しなければならない。よって、支配権の届かない名義だけの土地所有者が多くなってしまうのである。所有者不明の土地が400万haという事は、相続を放棄した不動産という事になる。亡くなった人が所有者だという事だ。
今回、不動産登記法が改正された。土地や建物の相続登記を義務化した。相続後3年以上放置した場合、罰則(過料)を科すというものだ。所有者が住所を変更した時、住所変更の登記も義務付ける。我々が業務上、登記簿を閲覧して住所を訪ねても、転居先の分からない空家が結構多い。転居先住所の変更登記をしていない人がほとんどだ。所有者探しの意味では我々業者泣かせとなっている。登記法の改正で良い面もある。相続人全員の承諾が無くても、一人でも相続登記の手続きが出来るようになった。相続したくない人は国庫に不動産を納付することもできるようになる。農村部の不動産価値は0円の価値、山間部はマイナスの価値となっている。国民が不動産に興味を無くした原因は、収益還元法鑑定の登場によって、地代が取れない農村部の不動産に価値が無くなった点にある。