通信技術万能時代である。通信の発展は恐ろしい。昔の通信は韋駄天による駅伝だった。今や情報は人間が動かずして瞬時にして伝わる。ウエブ会議に在宅勤務、プレゼン(営業)だって訪問せずに仕事ができる時代となっている。事件や事故、クレームやトラブルは写真で現場が分かる。録音や録画が証拠となる。賃貸マンションでは年がら年中、トラブルや問題が発生している。人件費削減と重なって、動かずに電話で済ませようとする傾向にある。
かつての部下たちは台風が近づいたら、善管義務に従い、全てのマンションに注意喚起の張り紙をして回ったものだった。昨今の管理会社の物件担当者は現場に行かず、入居者と面談せず、外注業者や委託業者に丸投げする。その結果はいつも納得できる解決にはならない。表面的な解決で終わってしまう。それは後日、無駄な経費の支出に繋がる。後日必ず似たような問題が再び起こるからだ。入居者には設備保全の管理義務がある。賃借人が設備の正しい使い方や正しい管理方法を知らずに、故障が発生した場合は、管理会社の指導不足(怠慢)に原因がある。
この時期、よく起こるのがエアコンの故障や、エアコンからの水漏れだ。エアコンはきちんと手入れをしていれば、そう簡単に壊れるものではない。エアコンのフィルター掃除をしなければ、吸気フィルターの網目が埃で詰まり、埃が周囲にまわってドレンを詰まらせ、水漏れを起こす。水漏れを起こすだけではなく、過電流の負荷がかかり故障してしまう。そしてオーナーは「基盤が壊れました」と報告を受ける。魂のこもらない仕事は処理作業になる。基盤が壊れたその理由(原因)まで頭が廻っていないのだ。
管理会社は入居者の使用方法を確認せずに、取り替えや修理の手配をする。私はかつてより物件担当者には現場へ行け(写真を撮れ)と言ってきた。入居者に会えと言ってきた。入居者の顔を見て話しをすれば、人間性が分かり生活態度が分かる。日頃の手入れ状況まで分かるのだ。管理業者には根本原因を見抜く洞察力が必要だと言っている。いずれにしても全ての答えは現場にあるということだ。