地価動向

 土地探しの依頼があった。お客様の希望と価格が合致しない。われわれ不動産業者は地価動向と経済動向を知っておかねばならない。国税局は7月1日に全国の路線価を発表している。今年の路線価には実態と違う部分があり、新型コロナウイルスの影響があまり反映されていないように思う。

 県内の標準宅地(4177地点)の平均変動率は前年比1・4%のマイナスとなり、14年連続で下落した。下落幅は縮小傾向が続いていたが、9年ぶりに下落幅が拡大した。新型コロナウイルス禍で経済活動が停滞し、土地需要が弱まったことが影響したように思う。四国最高路線価は松山市大街道2丁目の大街道商店街で、1平方メートル当たり66万円(坪単価218万円)。5年連続の上昇から横ばいとなった。

土地評価の指標には「一物五価」と言われている5つの値段が存在している。知っておくと便利である。

❶公示地価とは、1月1日時点を基準日として、国交省が用途地域の分類における一般取引の参考価格として3月に発表している。これを100%とすると・・・・・・・・100%

❷基準地価とは、公示価格の半年後の7月1日時点を基準日として、公示価格を補う目的で、地方自治体が一般取引の参考として9月に発表しているもの。・・・・・100%

❸路線価とは、1月1日時点を基準日として、7月に国税庁が相続税や贈与税の指標として発表している。公示価格の80%相当が評価水準となっている。・・・・・・・・80%

❹固定資産税評価額は、都と市町村が固定資産税の課税の為の指標とする価格。3年に一度の評価替えがあり、前年の公示価格の70%相当が評価水準。・・・・・・70%

❺実勢価格とは、実際に取引する価格をいう。緊急な換金のための処分や、どうしても必要な土地など、相場とはかけ離れた取引金額になることがある。

●建物の公的な評価は固定資産税だけである。

新築時の建築費の50%から70%が目安となる。建物の固定資産価値は法定償却年数に沿って下がって行く。法定償却が終わっても課税評価額が下がらない。よって税金は終わらない。国家が償却年数によって無価値と認めているのに、市町村が価値ある資産として課税するのはおかしい。実態として朽廃状態の建物でも課税している。納得できない私は評価額について根拠を立てて松山市と戦ったが、松山市は納得する説明もしないまま評価額を変更することは無かった。