社員が忠実に定年まで働くことが時代遅れになってしまった。経営者にとって今後「雇用の安定と賃金の保証」と言う言葉は死語になっていく。日立製作所は内外の37万人の雇用を「ジョブ型雇用」にすると日経新聞一面に表明した。今後雇用の形態を変えると言う。ジョブ型雇用社会にすると言う。岸田総理も従来の年功制(メンバーシップ型)の職能給制度から職種に合わせた職務給制度にすると発表している。今後は会社へ就職するのではなく仕事に就職することになる。会社の為から自分の為の就職となる。その仕事は作業職から専門職(高賃金)まである。一般職から管理職まである。管理職に不可欠な人望だって仕事(職務)となる。しかも、それは職種と賃金がリンクしているのだ。日立製作所は序曲かもしれない。その他の会社も追随していく。
従来のメンバーシップ型は先ず人(社員)を採用し、その社員を教育し仕事を宛がうやり方だった。即戦力にはなりにくい。社員は会社によって将来性や熱意を期待され、教育されながら決められた仕事をする。いきなり成果が出ない為に賃金と合致しない。予定の成果が出ないと厳しく追及されパワハラ問題が発生する。将来の能力や意欲による評価がある為、成果による評価が乏しくなる。よって不公平感が出てくる。
これから導入されるやり方は、先ず仕事(ジョブ)と賃金が決められており、その仕事にふさわしい人物をジョブの箱に、即戦力としてはめ込んでいくやり方です。ジョブ型は成果と賃金が決まっているから能力主義だと誤解されがちだが、決してノルマ主義ではないのです。成果と賃金、専門職種と賃金、管理職種と賃金など、仕事と賃金を開示して、仕事の箱(相当賃金の箱)に人を当てはめると言うのです。労働者は自分の生活スタイルや自分の能力に合わせた仕事(箱)を選ぶのです。能力が無ければ希望の箱で働けない事もあり得るし、お払い箱にもなり得るのだ。それは将来の安心と安定が保証されない。
今後はヘッドハンティングや転職が普通となる。ジョブ型雇用制度で会社も社員も成長する。振り返ると急成長しているタカラレーベンがその代表格だと思う。仕事の箱と自分の仕事スタイルが合うか合わないかで雇用の継続が決まってくる。賃金を変えるには仕事の箱を変えなければならない。管理職・営業職・専門職(研究者)の雇用形態に近い。雇用契約より委託契約に近くなるために労働基準法がなじまなくなってくる。結論は一つ。自分自身のスキルUPで自分と言う商品価値を高めるしかない。でなければ自分が選べるジョブの箱は少なくなってしまう。労働市場において生き残るための救命胴着は自分で手当てするしかないと言うことだ。