カニバリゼーション(共食い

  経営者がカニバリゼーションと言う言葉を使う。「共食い」という意味だ。類似する自社製品同士でそれぞれの売上を奪い合ってしまう場合に起こる現象だ。事業に共食いを恐れてはならない。同業間だけでなく社内にだってカニバリゼーション(共食い)はある。逆に積極的に共食いをするくらい頑張らなければならない。伸びている会社の経営者は、成功している事業をぶち壊し、食い潰したビジネスを踏み台にして、更に新ビジネスを創設しなければならないと過激なことを言っている。

 我々不動産業は長年、顧客に箱(居住空間)を売って来た。いち早く私は東京の最先端設備を取り込み、低家賃のまま快適生活の提供に切り替えた。そして低価格のまま生活スタイルの販売に行き着いた。最新設備完備の低家賃はお客様から喜ばれ、満室・完売で市場から支持を受けた。それは業界(既存オーナー)に喧嘩を売っていた事だったのである。遂に松山市は快適設備でありながら、日本で一番家賃の低い街になったのである。良いことは悪いことの始まり、日本一の低家賃?自分で自分の首を絞めていたことになったのだ。

  世の中はスクラップ&ビルド(破壊と新設)によって発展してきた。進化は破壊と言う代償のもとで進化してきた。新築物件の誕生で経年建物が解体を余儀なくされていく。新技術によって既存技術が過去のものになる。前に進むことがスクラップを作ることになる。起業創業が倒産廃業を促す。カニバリゼーション(共食い)による淘汰である。まさに変革の矛盾、変革の非情である。

  フィンテックとはファイナンス+テクノロジーの造語であり金融工学を言う。インターネットやスマートフォン、人工知能やビッグデータを活用した業務を言う。ブロックチエーンと言った技術によってビットコイン(仮想通過)が生まれることになった。我々不動産業界では不動産の証券化から、リバレッジ効果を駆使した投資利回り重視の取引が進んだ。ファンドマネージャーやアセットマネージャーが出現して、我々地方の末端の不動産業者を手玉に取るビジネスが主流となった。仲間の強者が仲間の弱者を食い潰す。弱肉強食の市場原理原理は、1人の勝者(生き残り)になるまで、カニバリゼーション(共食い)が止まることは無い。